ヨーロピアンロードトゥザーケンタッキーダービーシリーズの最初の4競走が終了し、次の競走は3月1日まで待たねばならないというこのタイミングで、ここまでのポイント順位を振り返ってみたいと思う。まずは、ジャンリュックラガルデール賞 (G1) の勝ち馬で、様々な意味でリーダーボードのトップに立つ、ゴドルフィンのロイヤルマリーン(父レイヴンズパス)。実のところ、4頭の牡馬がそれぞれ指定競走を1レースずつ制し、また、それぞれが10ポイントずつを獲得している状況であるが、タイブレーカー、すなわちNon-Restricted Stakes(出走条件に特段の制限の無いステークス競走)におけるポイント獲得によりトップに立つのがイヤルマリーンである。同馬は現在のところ、マグナグレシア(父インヴィンシブルスピリット)(フューチュリティトロフィー (G1) 勝ち馬)、モホーク(父ガリレオ)(ロイヤルロッジS (G2) の覇者)、そしてジャパン(父ガリレオ)(ベレスフォードS (G2) の勝者)を、それぞれ2位、3位、4位に従えている。

しかしながら、ロイヤルマリーンが持つ意義はただ単に彼が現在のトップであることに留まらない。彼はおそらく、最も理にかなった(もしかしたら唯一の)、欧州発ケンタッキーダービー行きの候補かもしれない。というのも、昨秋に行われたポイント対象レースはどれも芝を舞台に争われていて、とどのつまり、それらは5月の第1土曜日のチャーチルダウンズ競馬場のダート(ケンタッキーダービーのこと)よりも、ヨーロッパのクラシック競走へ直結していると思われるからだ。然るに、現在リーダーボードに名を連ねる馬たちは結果的にポイントを獲得したのであり、彼らの真の目的は今春の3歳馬限定競走への出走権獲得(日本的に言うところの「賞金加算」)だったのである。実際、ジャパンとモホークはいかにも英ダービー (G1) 向きであるし、マグナグレシアにとってはケンタッキーダービーと同日(5月4日)に行われる英2000ギニー (G1) が指定席であるように思える。この3頭はいずれもエイダン・オブライエン調教師の管理馬なのだが、彼がRun for the Roses(ケンタッキーダービーの別称)に出走させることになるのは(出走させたとして)きっと、別の馬になるであろう。

なお、依然ロイヤルマリーンにも欧州の主要2000ギニー競走への出走という選択肢は残るものの、管理調教師であるサイード・ビン・スルール師は、おそらく同馬に、ダートを試す機会をドバイ・ワールドカップのカーニヴァル開催中に与えるであろう。その開催中に、特に3月30日に行われるUAEダービー (G2) で好走するようなら、同馬のケンタッキーダービー出走は俄然現実味を帯びてくる。そして、仮にダートが合わなかったとしても、同馬はいつでもヨーロッパの芝競走へ戻ることが可能だ。なお、同馬の血統はダート転向への明るい兆しを有する。父のレイヴンズパスは芝のG1競走勝ちのマイラーであったと同時に、サンタアニタ競馬場のオールウェザーで行われた2008年のブリーダーズCクラシック (G1) 覇者でもあった。そして、レイヴンズパスの父であるイルーシヴクオリティは、2004年のケンタッキーダービーならびにプリークネスS (G1) を制しチャンピオンの称号を得たスマーティージョーンズや、クオリティロードを送り出したことで有名だ。ロイヤルマリーンの母方の血統構成は全体的に芝寄りだが、半兄のSecret Ambitionはドバイのダートで堅実な走りを見せている。また、近親にあたるSecret Numberは芝とオールウェザーの双方で結果を残し、もしダートを試されていたらそこでも脅威となり得た馬だった。しかしながら、ロイヤルマリーンのダート競馬へ向けての最大の武器は、同馬の脚質かもしれない。その先行脚質は、同じくビン・スルール師の管理馬であるサンダースノー(父ハムレット)を彷彿とさせる。そして、この暴れ馬(サンダースノーのこと)が出走した2017年のケンタッキーダービーがドライコンディション(日本的に言うところの「良馬場」)で行われていたらと考えずにはいられない。なお、同馬は昨秋に同じチャーチルダウンズ競馬場で開催されたブリーダーズCクラシックで3着に好走しているのだが、この事実もまた、ロイヤルマリーンにとっては心強い。

ドバイの地とUAEダービーにおいて「ダート試験」に合格した暁には、ロイヤルマリーンが保有するポイントはヨーロピアンロードトゥザーケンタッキーダービーシリーズ限定のポイントとしてではなく、北米調教馬が群雄割拠するMain Derby Leaderboard(地域限定ではない、本来のポイント競走シリーズ)に繰り入れられる。そうなればそれは、ヨーロッパ限定シリーズにおける僅差のポイントリーダーが、究極的にはドバイで本番への出走を確たるものとするという、2018年のMendelssohnの蹄跡を辿ることとなる。

いずれにしても、ポイント対象レースがオールウェザーで行われるこの先のヨーロピアンロードトゥザーケンタッキーダービーシリーズには、フレッシュな面々が登場してくるだろう。Mendelssohnも橋頭堡としたダンドーク競馬場のPatton Stakes(3/1)と、Gronkowskiに勢いをもたらしたケンプトン競馬場のRoad to the Kentucky Derby Conditions Stakes(3/6)の勝者には、それぞれ20ポイントが与えられる。そして、ヨーロッパ・シリーズは、上位4着馬にそれぞれ30ポイント、12ポイント、6ポイント、3ポイントが与えられる、チェルムスフォードシティー競馬場のCardinal Conditions Stakesでその決着を見ることになる。シリーズのフィナーレとして新たに創出された同競走は、4月に行われる。

2019年ケンタッキーダービーへの優先出走権を獲得することになる今シーズンのシリーズ覇者も、初開催となった記念すべきシリーズを総合優勝した昨シーズンのGronkowski同様、オールウェザーでの成績に牽引され、その地位に就くことになるであろう。群から抜きん出て今年のGronkowskiとなるのはどの馬なのか?その答えは、今冬、明らかとなる。

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